ブリジェクトX ~社長のブログ~

【商品開発物語】氷見いわし唐揚げ用の誕生


代替…品?!







代替…品?! 
今から12年ほど前、ここ氷見で真いわしの漁獲量が激減しました。

氷見の真いわしは「氷見鰯」として広辞苑に掲載されており、江戸の役人がわざわざ買い付けに来たと書物に記述もあります。
主に乾燥させた「干鰯」として食べられています。

この伝統あるいわしが獲れなくなったことは、地域に大打撃を与えました。
代わりに獲れ始めたものは、煮干しや広島県の特産ままかりに使われる小さな片口いわし。
毎朝100〜200トンも水揚げされるのですが、美味しいのですが、商品価値としては真いわしよりも劣るため、さばききれず売れ残った小さないわしを長靴の先で蹴飛ばすような者までいる始末です。

このような小さな魚達は海の中であらゆる魚の食料となり、氷見のブランド魚であるブリもいわしをたっぷり食べて育つのです。
「なんことをするんだ!」心の底から怒りがこみ上げました。粗末にすることは許されないと思いました。

そこで、「この片口いわしを、商品化する方法はないだろうか?」と考え始めたのです。 


試行錯誤 
小さな魚は三枚おろしなどに加工することが難しいので、丸ごと揚げられる唐揚げにしようと研究を始めました。
唐揚げならカルシウムがたっぷり獲れて、子供も大人もパクパク食べられます。

まず、市販の唐揚げ用の粉を使って試しましたが、あまり美味しくありません。生臭さもあります。

「何か工夫しないと…」

粉の選別、味付け、何度も試行錯誤しながら、自社オリジナルの加工方法を探っていました。

経済産業局の地域産業資源活用事業の支援を受けることもでき、さらに、国内外の粉を試し、冷凍技術、魚の加工などあらゆる施策を行ったところ、やっと納得のいく味にたどりつきました。

それが「氷見いわし唐揚げ用 生姜醤油味」。
現在人気の魚介唐揚げシリーズ、最初のヒット商品です。 


ビッグサイトの小さないわし
商品化した「氷見いわしの唐揚げ用」を地域産業資源活用事業に出品してみたところ、なんと優秀賞をいただくことに!
受賞作品は、東京ビッグサイトに展示されるとのこと。
食品加工の技術や機械の扱い方などで大変お世話になっている富山食品研究所の西岡さんを誘って見学に行きました。西岡さんも受賞の報告をすると大喜びしてくれたのです。

会場に着くと、「氷見いわしの唐揚げ用」が大きく展示されていました。
あのビッグサイトの天井にも届くかの勢いで看板が設置され、その下に小さないわしが展示されているのです。

「西岡さん…これ、こんな大きな賞だったのですか?」と横を見ると、西岡さんは、「俺も知らなかったよ」と言いながらポロポロ泣いていました。 


賞を取ってから気づく
審査員の方々に開発の過程を説明したところ、私の加工方法が特殊なことであったと気づかされました。

「なぜ片栗粉を使ったのですか?通常は小麦粉を使いますよね」
「小麦はアレルギーがある方もいます。そして冷凍保存するとうまく揚がらないのです。片栗粉にすることで誰でも食べられますし、揚げてもカリッとします。中でも北海道産が一番でした」

「いわしはどんな加工をすると生臭さが取れるのですか」
「魚は一般的に生姜に漬けることで良い味になります。そしていわしの頭をとることで生臭さが軽減されるんです。」

「氷見というと真いわしが有名ですよね。なぜ加工の難しい片口いわしにしたのですか? 小さな魚の頭をとるなんて大変だったでしょう?」
「真いわしの漁獲量が一気に減り、それまで捨てられていた片口いわしを商品化することにしたのです。片口いわしはうまいんですが、やはり加工が面倒ですよね。足も早いですし」

紀伊国屋のバイヤーさんも来て、すごく評判が良いと褒めてくださいました。
「仕事柄よく試食してもらうんですが、いつもあまり食べない家族が、このいわしの唐揚げはぺろりと食べたんですよ」
その言葉を聞いている西岡さんが目を真っ赤にしているのを見て、私も感激してしましました。


買ってくださるお客様はもちろん、地域や、その開発に関わる方全てに喜んでいただける食品加工の仕事。この仕事を生涯続けていけたら幸せだと思っています。

笠井健司



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